時の箱
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                         10×7.4cm

 ぼくが子供だった頃

 ひとつの窓から見える山々は ぼくに語りかけてきた

 風の精のいたずらで 山は遠く彼方にぼくを誘ったかとおもうと

 明くる日には 手の届くすぐそばまで針葉樹の指先をさしだす・・・

 くる日もくる日も

 ひとつの窓から山々にみつめられ

 神秘に彩られた山や空気 樹々の色たちを

 ぼくは 箱の中に大切にしまった

 箱の中の色たちをパレットに広げ

 描かれたキャンバスの中から

 あの日の森へと 還ってゆく


 わたしが子供だった頃

 弟とわたしは菜の花畑で妖精をみた

 菜の花の実を半分に割ってつくられた小さな籠を持った妖精を・・・

 それは わたしと弟が共有した真実の宝ものだった

 やがて大人になり

 弟は「 あれは幻だったんだ 」と言った

 半分 手のひらに残った真実を

 わたしは 箱の中に大切にしまった

 半分になった 淋しがりやの真実は

 わたしの蝶たちと戯れて

 時折 甘い記憶を持ち還ってくる


 暗闇に閉ざされたとき

 真実の ひとすじの光をみつけることができる

 ひとすじの光を辿ってゆくと

 眩い白い光に包まれた平原にたどりつき

 やがて この世界が黄金色に包まれていることに気づく


 小さな花々や虫たち

 コンクリートの一片

 心臓の鼓動

 あなたがいて 

 わたしがいること・・・


 黄金色に輝く 一時 一時を

 わたしたちは ‘ 時の箱 ’ の中に大切にしまう


 永遠のリボンをかけて・・・ 
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by poeetyayo | 2010-02-26 11:35 | ◆ 絵:Poe et Yayo
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