カテゴリ:◆ 詩:Poem.Poe.me ?( 21 )
 ガブリエルと月蜉蝣 
 ちっちゃな青虫ガブリエル

 みんな幸せになりますように

 卵に蛹に絵を描いた

 雨の日風の日も絵を描いて

 ガブリエルは動かなくなった


 250回目の満月の夜

 目を覚ましたガブリエル

 「 あんなに絵を描いたのに
  誰も幸せにできなかった 」

 ポトンとひと粒 真珠の涙


 三日月みたいに微笑んだ

 月明かりの蜉蝣謳います

 「 卵も蛹も今はみんなお星さま
  あなたの背中に虹色の羽 」


 蜉蝣とガブリエル空の上

 真珠の涙 一番星に 


 月蜻蛉とガブリエル

 夢の中の青虫いづこに

 想い出そうとしてみても

 知らない誰かの夢のよう


 ガブリエルと月蜉蝣

 湖空の中にみる夢は

 遠い 遠い 過去の夢

 遠い 遠い 未来の夢

















*
[PR]
by poeetyayo | 2013-10-18 11:53 | ◆ 詩:Poem.Poe.me ?
 蜘蛛の子供たち
 巨大な蜘蛛の子 女の子

 虹色黄金虫に戀をした

 ふたり手を繋いで山の上

 お山の上から落っこちた

 虹色黄金虫 闇色に


 女の子 泣いて 泣いて 

     涙の湖

 水面を視つめて 飛び上がる

 湖から視つめる 巨大な蜘蛛

 
 月眠るまで 蜘蛛糸紡いで

 涙の粒の 蜘蛛糸首飾り

 悲しい虫達 美しく慈しむ

 
 月眠り 蜘蛛糸終わり

 涙の湖 星の空へ

 大きな虹の 東のふもと

 美しい 薔薇色お姫さま



 巨大な蜘蛛の子 男の子

 黄昏蝶々に戀をした

 ふたり手を繋いで雲の上

 月の手前で落っこちた

 黄昏蝶々 死んじゃった


 男の子 泣いて 泣いて

     涙の湖

 水面を視つめて 飛び上がる

 湖から視つめる 巨大な蜘蛛

 
 月眠るまで 蜘蛛糸紡いで

 蜘蛛の糸の 柔らかなドレス

 病いの虫達 暖め包む


 月眠り 蜘蛛糸終わり

 涙の湖 星の空へ

 大きな虹の 西のふもと

 美しい 金色王子さま







  † 2012.7.7 †






















*
[PR]
by poeetyayo | 2012-07-08 12:11 | ◆ 詩:Poem.Poe.me ?
 荊の靴
君が履いている 荊の靴

君の脚が 傷ついてゆくのをみていられなくて

僕は 君の ‘ 靴屋 ’ になったんだ


君のために 

いったい僕は 何足の靴を創っただろう


君が 少しでも楽に歩けるように

幸せそうに 微笑む姿がみたくて

僕は 眠ることも忘れて

君の靴を 創り続けていたね


君は

美しくみえる ヒールの高い靴が好きだったから

いつも 僕と手をつないで歩いていた

ふたりで いろんな国を旅したよね


でも 僕は気付いたんだ


僕自身の経験から創った靴は

君の靴になりえないことに


だから 僕は君の手を離した


君は 君自身の手で

本当の靴が創れただろうか・・・


月の美しい夜に

ふ、と そんなことを

想い出したんだ































*
[PR]
by poeetyayo | 2011-05-02 11:06 | ◆ 詩:Poem.Poe.me ?
 蒼の時間
黄昏時 空が蒼く沈むとともに

螺旋の瓶も蒼く染まってゆく


瓶がすっかり蒼インク色になったとき

少女が瓶から飛びだした

生まれたばかりの月色の柔らかな髪に

蒼い 碧い瞳の

瓶少女


少女は叫ぶ

「 あぁ、わたしは自由なのだわ
    もう 誰にも捕まらない! 」

空も叫ぶ

「 あぁ、わたしは自由なのだわ
    もう 誰にも捕まらない! 」


少女は走る

月も星も走る


少女は遊ぶ

月も星も遊ぶ


やがて 1羽の小鳥が

朝のはじまりを告げにやってきた

蒼インク色の瓶も 空も

無情な水に薄められてゆく


瓶少女

するりと瓶に消えちゃった


あとにのこるは

部屋いっぱいの蒼い落書きと

少女の髪の甘い香り














*
[PR]
by poeetyayo | 2009-12-02 17:24 | ◆ 詩:Poem.Poe.me ?
 弦音と琴音 ( つるねとことね )
女の子は 古い人形と暮らしています

人形の名前は 弦音

琴音のお母さんの少女時代も見守ってきた硝子の眼をみつめながら

女の子は話します


 弦音はかわいい
 
 可愛そうで可愛い

 鼻の頭が欠けてもにっこり微笑んで

 どんな人に貰われてゆくのかわからないのに

 ひとりで凛としている

 弦音は強くて可愛い子

 わたしを守ってくれる弦音ちゃん

 今度生まれてきても

 きっと わたしが探しだして

 守ってあげる


透明な静かで優しい女の子の眼をみつめながら

人形は話します


 あなたはかわいい

 可愛そうで可愛い

 食べること 眠ること そこに花があること

 あなたが決めたことではないことに従うことに

 苦しみながら凛と立っている

 あなたは強くて可愛い子

 わたしを守ってくれる琴音ちゃん

 今度生まれてきても

 きっと わたしが探しだして

 守ってあげる


女の子は じっと 人形をみつめます

人形も じっと 女の子をみつめます


女の子は言いました


 もう人形でいるのはイヤ

 わたしが決めたことしかしないわ


女の子は 食べることも眠ることもやめて

絵を描きます

誰も見たことのない美しい景色や生き物たち

女の子の描く線は だんだん細くなり

女の子の指も細くなってゆきます

線はどんどん細くなってゆき

透明なひとすじの線になったとき

女の子は 絵の中に溶けてゆきました


女の子は 絵の中で幸せでした

すべて 自分で決めた世界だったからです


 食べることも 殺すことも 中途半端も 腐ることも

 ここには苦しいものは なんにもないわ

 なにもかも 完璧に幸せだわ

 でも なにか 淋しい


そう言って 女の子は人形を描きました


女の子は じっと 人形をみつめます

人形も じっと 女の子をみつめます



人形は謂いました


 
 もう人形でいるのはイヤ

 わたしが決めたことしかしないわ














*
[PR]
by poeetyayo | 2008-02-05 00:00 | ◆ 詩:Poem.Poe.me ?
 水の記憶
空から落ちた一粒の涙

やがて蒼い星の海となり

一人の少女が生まれた

彼女は柔らかな音楽

捕らえようのない詩



海辺に佇む一人の詩人

詩人は海の少女に恋をした

叶わぬ想いを詩に歌い

硝子壜の中の詩は

ゆっくりと海に溶けていった



硝子壜の中で

詩人と少女は

永遠に生き続けている




 — ポエム・ドゥ・ロー「水の詩」コンテスト 入賞作品 —

♧ おまけ ♧
[PR]
by poeetyayo | 2006-10-30 00:00 | ◆ 詩:Poem.Poe.me ?
 2つの人生
9年前の9月 天使は1羽の鳩になった

9年前の9月 彼女は崖から転落した

一度の人生で 記憶を残したまま生まれ変わった彼女は

あの日以来 双頭の鳩の星に棲んでいる


地球にいる彼女を抱きしめてあげたいと想う

抱きしめようとしても

彼女はするりと腕から逃げてゆくだろう

上を向いたまま 脚から血を流していることも気付かずに駆け登ってゆく彼女に

「ゆっくりまわりを見渡してごらん 幸せはすぐそばにあるのだから」と語りかけても

彼女は笑って走り去ってゆくだろう


9年前の あの9月の日

彼女は地球に別れを告げた

彼女は今も 

遠い星から 虚ろな眼で蒼い星を見つめている
























*
[PR]
by poeetyayo | 2006-09-17 00:00 | ◆ 詩:Poem.Poe.me ?
 お月さまをつかまえる魔法
月の美しい夜

鏡の指輪を月にかざす

小さなちいさなお月さまが

指輪の中にはいったとき

左手を指輪にふせて

小箱にそっとしまいリボンをかける

小箱の中に 

小さなお月さまが眠っている

















*
[PR]
by poeetyayo | 2006-04-15 14:59 | ◆ 詩:Poem.Poe.me ?
 なぞなぞ
わたしたちはこの世にきたならば

はてしなくつづく宿題のように

‘なぞなぞ’をだされるの

ものを創る人 絵を描く人は

そのはてしなくつづく‘なぞなぞ’に

‘おかえし’をしているのよ

もしもこの世に‘なぞなぞ’がなかったら

もう誰もなにも創らなくなるわ
















*
[PR]
by poeetyayo | 2006-04-15 14:55 | ◆ 詩:Poem.Poe.me ?
 ハリケーン
あなたはずっと泣いていたね

深い溜息

涙が降りそそぐ

地面を叩きつける


淋しいね

と わたしは言った

 淋しいね

と あなたは言った


どうしてかな

 どうしてかな


今がなくなってゆくから

 今がなくなってゆくから


今が愛しいからね

 今が愛しいからね


とてもね

 とてもね


終わりなんてないよ

 終わりなんてないよ


永遠の愛はわたしたちがつくるもの

 永遠の愛はわたしたちがつくるもの


どうして泣くの

 どうして泣くの


きっと今しあわせだからよ

 きっと今しあわせだからよ


子供のように精一杯泣いたあとには

精一杯笑うのね

気が狂うほどに晴れ渡る9月の空は

とても 愛しく 悲しい

     
         — 2001.9.9 —





















*
[PR]
by poeetyayo | 2006-04-15 14:52 | ◆ 詩:Poem.Poe.me ?